
すばる 2025年5月号
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「すばる」から生まれた本
文学賞
特集
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『世界99』刊行記念対談 村田沙耶香×岸本佐知子
二〇二〇年十一月号より、『すばる』誌上で三年七カ月にわたって連載された村田沙耶香氏の大作『世界99』が、このたび上・下巻ともに満を持して刊行されました。全世界待望の本作では、人間社会の行き着く先が、一人の女性の目線を通じて徹底的に描かれます。対話者として世界文学に精通する翻訳者であり、新鮮な視点で世界を描く名エッセイでも知られる岸本佐知子氏を、司会者に江南亜美子さんをお迎えし、小説の感想や、執筆のこと、海外での経験など、たっぷり語っていただきました。
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『泡の子』刊行記念対談 田中慎弥×樋口六華
第48回すばる文学賞を受賞した『泡の子』は、新宿歌舞伎町の通称・トー横で生きる若者たちを独特の言語感覚で描き出している。著者の樋口六華さんは、高校三年生だ。選考会で本作を推し、「聞きたいことがたくさんある」と言う田中慎弥さんとの対談が実現した。
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『港たち』刊行記念対談 古川真人×小山田浩子
芥川賞受賞作『背高泡立草』から五年。古川真人が新作『港たち』で再び九州の離島を舞台に一族の物語を紡いだ。連作形式で繋がる五つの短編では島の温かな光景の背後に、コロナ禍の不穏な時勢が色濃く刻印されている。古川と同じく新潮新人賞出身の小山田浩子もまた新作となる連作短編集『最近』で、ある夫婦を視点にコロナ禍の時間を切り取っている。何かが解決されたわけではないのに、いつの間にか終わったことにされているあの時間を描くことの意味とは──。互いの小説に共鳴し続けてきたという二人の小説家による初めての対話が行われた。
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『あのころの僕は』刊行記念対談 小池水音×又吉直樹
幼いころに触れた言葉、目にした風景、過ごした時間……記憶されたそれらがようやく意味を持って立ち上がり始める、その軌跡を丹念に描いた『あのころの僕は』。著者の小池水音さんは、二〇二〇年に新潮新人賞でデビューして以来、同賞の選考委員を務める又吉直樹さんの言葉を創作の支えとしてきたという。このたび二冊目の単行本刊行を記念して、念願の対談が実現した。