
すばる 2025年3月号
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「すばる」から生まれた本
文学賞
特集
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『港たち』刊行記念対談 古川真人×小山田浩子
芥川賞受賞作『背高泡立草』から五年。古川真人が新作『港たち』で再び九州の離島を舞台に一族の物語を紡いだ。連作形式で繋がる五つの短編では島の温かな光景の背後に、コロナ禍の不穏な時勢が色濃く刻印されている。古川と同じく新潮新人賞出身の小山田浩子もまた新作となる連作短編集『最近』で、ある夫婦を視点にコロナ禍の時間を切り取っている。何かが解決されたわけではないのに、いつの間にか終わったことにされているあの時間を描くことの意味とは──。互いの小説に共鳴し続けてきたという二人の小説家による初めての対話が行われた。
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『あのころの僕は』刊行記念対談 小池水音×又吉直樹
幼いころに触れた言葉、目にした風景、過ごした時間……記憶されたそれらがようやく意味を持って立ち上がり始める、その軌跡を丹念に描いた『あのころの僕は』。著者の小池水音さんは、二〇二〇年に新潮新人賞でデビューして以来、同賞の選考委員を務める又吉直樹さんの言葉を創作の支えとしてきたという。このたび二冊目の単行本刊行を記念して、念願の対談が実現した。
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梅佳代 ルポ「のと2024」
2024年1月1日、写真家・梅佳代氏の故郷である能登半島が、マグニチュード7.6の大地震に見舞われた。家族の安否を確認し、避難所に物資を送ることしかできなかった2か月間ののち、「被災地」となった故郷を震災後はじめて訪れたのが3月のこと。変わり果てた故郷に言葉を失いながらとにかくシャッターを押したその日から、「写真で残しておかないと」という思いは離れた土地に暮らす間にも膨らみつづけ、今回は、生まれ育った能登町だけでなく輪島や珠洲にも足を延ばした。「この場所に生まれていなかったら写真家にならなかったと思う」という唯一無二の故郷・のと、その変わってしまった風景と、そこで営まれる人々の生活、「いま」を記録する。
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『虚史のリズム』刊行記念対談 奥泉 光×小川 哲
壮大な物語世界を、お二人はどのように言葉で立ち上げているのでしょうか。大森望さんを司会に迎え、じっくり語っていただきました。