すばる最新号  >  バックナンバー一覧  >  2021年3月号

「すばる」2021年3月号

 水原涼「焚火」。勤務先の図書館で見つけた黄色い表紙の単行本。それは従姉のちかちゃんの部屋の本棚にあった、アントニオ・タブッキに関する書だった。「ぼく」はそれを読みながら、彼女の記憶を呼び覚ますことになる。なぜなら彼女は、もういなくなってしまっていたから。新鋭が描く力作中篇。
 高瀬隼子「水たまりで息をする」。風呂には、入らないことにする。ある夜、35歳になる夫がそう告げた。結婚して十年、この先も穏やかな生活が続くと思っていた衣津実は、夫と自分を隔てる細い割れ目に気が付いて……。今を生きることの息苦しさを掬い取る意欲作。
 ブルーノ・シュルツ(マルツェリ・ヴェロン)「ウンドゥラ」。大戦間期に活躍し、文学に新しい地平を拓いたと言われるユダヤ系ポーランド語作家シュルツ。昨年5月に報道された、別名で発表したとされる未発表短編を掲載。訳・解説/加藤有子。
 文芸漫談/奥泉光+いとうせいこう「大江健三郎『芽むしり仔撃ち』を読む」。前回の『ペスト』に続く「閉鎖文学」シリーズとして、初めて存命作家の作品を取り上げる。『芽むしり仔撃ち』の位置づけと、その魅力とは何か。
 杉田俊介「橋川文三とその浪曼」。「三島由紀夫と美的革命(五)」。橋川が三島の命がけの思想に対峙しつつ問い続けたものとは? 橋川が構想していた日本革命の理念とは? 著者がかねてから問うてきた主題を橋川に寄り添うように論じた連載、ついに最終回。

「すばる」2021.3月号

バックナンバー一覧へ

「すばる」2021年3月号 目次

作者紹介

  • 小説
    • 水原涼 - 焚火

    • 高瀬隼子 - 水たまりで息をする

  • 文芸漫談

    • 奥泉光+いとうせいこう - 大江健三郎『芽むしり仔撃ち』を読む

  • 未発表短編
    • マルツェリ・ヴェロン(ブルーノ・シュルツ)/加藤有子 訳・解説 - ウンドゥラ

  • 最終回
    • 杉田俊介 - 橋川文三とその浪曼(21)

  • 連載
    • 宮本輝 - よき時を思う(3)

    • 花村萬月 - ハイドロサルファイト・コンク(9)

    • 奥泉光 - 虚史のリズム(10)

    • 高橋源一郎 - この素晴らしき世界(14)

    • 桐野夏生 - 燕は戻ってこない(25)

    • 恩田陸 - 鈍色幻視行(60)

    • 松田青子 - 自分で名付ける(11)

    • 池澤夏樹 - 風がページを…(15)

    • 前野健太 - グラサン便り/長島有里枝 - こんな大人になりました/マリアム・タマリ - パレスチナの朝/小澤征良 - ひとすくいの時間

  • カラーグラビア
    • 宮内悠介 編(3)- こんなことしてていいのか日記

  • プレイヤード
    • 【演劇】

      『Oslo(オスロ)』 - 沢美也子

    • 【美術】

      千葉市美術館での宮島達男展と榎倉康二 - 鷲田めるろ

    • 【映画】

      『DAU. ナターシャ』- 立田敦子

    • 【本】
      • 石井遊佳 - 読書日録
      • 原田ひ香 - 辻仁成『十年後の恋』
      • トミヤマユキコ - 角田光代『銀の夜』
      • 瀧井朝世 - 島本理生『2020年の恋人たち』
      • 阿部公彦 - 戌井昭人『さのよいよい』
      • 北村浩子 - 岩城けい『サンクチュアリ』
      • 長瀬海 - 乗代雄介『旅する練習』
      • 吉田伸子 - 尾崎世界観『母影』
      • 津村記久子 - 木崎みつ子『コンジュジ』
      • 斎藤真理子 - 中村佑子『マザリング 現代の母なる場所』

すばる文学賞

  • 応募要項へ
  • これまでの受賞者

投稿原稿について当編集部では、「すばる文学賞」「すばるクリティーク賞」への応募作品以外、原稿をお受け致しません。送られた原稿の返却、お問い合わせにはいっさい応じかねます。

すばるクリティーク賞

  • 応募要項へ
  • これまでの受賞者
twitter@subaru_henshubu