人はこんなにも多くを語る
沢美也子
2010年 7月号

『アット・ホーム・アット・ザ・ズー』
作/エドワード・オルビー 演出/千葉哲也 翻訳/徐賀世子
2010年6月17日〜7月19日シアタートラム
(問)シス・カンパニー 03-5423-5906 http://www.siscompany.com
エドワード・オルビーのデビュー作である『動物園物語』が生まれ変わった。一九五八年に執筆された『動物園物語』は、衝撃的な結末が論議を呼んだが、その物語に新たに前編とも言える一幕が加えられ、二幕構成の新しい戯曲『アット・ホーム・アット・ザ・ズー』になったのだ。二〇〇七年にオフ・ブロードウェイ公演があったばかりのこの作品が、いち早く日本で上演されることになった。演出を手掛けるのは、俳優で演出家の千葉哲也。『スラブ・ボーイズ』など、翻訳劇の演出で評価が高い。
「戯曲に精通しているわけではないので、あ、二幕物なのねと、違和感はないですね」と、いたって鷹揚だ。傑作として知られる『動物園物語』の、まさかの変身にも、動じる気配はまるでない。
「『動物園物語』で、犬の話をえんえんとするでしょう。簡単に言えば、あの犬の話が夫婦の話になったのかなと解釈しています」
第一幕『ホームライフ』はピーターと、その妻アンの物語。典型的な中流階級の中年夫婦で、生活には全く不自由していない。しかし、アンは不満があるらしく、ピーターに挑発的で過激な話題を投げかける。平和な家庭生活に起こる小さな嵐。すっきりしない気持ちを抱えたまま、ピーターは運命の公園へと向かう。第二幕は、従来の『動物園物語』そのまま。ピーターは見知らぬ若い男ジェリーにしつこく話しかけられ、つい自分の仕事や家庭のことを話してしまう。ジェリーは強引に自分のアパートの住人や、犬の話をえんえんと語り、ピーターは次第に翻弄されていく……
