1/2P 座談会昭和文学史

ゲスト

金石範(キム・ソクポム)

1925年大阪生まれ。作家。京都大学美学卒業。両親の出身地済州島を「私の『朝鮮人』の自我の形成の核をなすもの」と規定。四・三事件を描いた『鴉の死』でデビュー。著書に『万徳幽霊奇譚』『火山島』『地の影』『満月』など。

朴裕河(パク・ユーハ)

1957年、ソウル生まれ。現在、(ソウル)世宗大学日本文学科助教授。日本近代文学・思想専攻。慶応大学国文科卒業。早稲田大学文学研究科日本文学専攻博士課程修了。帰国後「二十世紀日本文学の発見」シリーズ十二冊を企画・編集、そのうち夏目漱石「心・夢十夜」、大江健三郎「人生の親戚」を翻訳。他に柄谷行人「日本近代文学の起源」、大江健三郎「万延元年のフットボール」、山田詠美「風葬の教室」。共著に「夏目漱石研究」(韓国語)「島尾敏雄」(宮沢企画)。共編著に「女子高生 のための文章図鑑」(筑摩書房)。著書に「反日ナショナリズムを越えて(韓国語原題は<誰が日本を歪めるのか>)」。主要論文に「漱石における戦争・文明・帝国主義」、「<文化>の政治学――柳宗悦と近代韓国の自己構成をめぐって」なの政治学――柳宗悦と近代韓国の自己構成をめぐって」など。


座談会扉 第20回目は「在日朝鮮人文学」。5年前に11000枚の大作『火山島』を完成して評判を呼んだ作家の金石範氏とソウルの世宗大学で日本文学を教えている朴裕河氏を招いた。

 サブタイトルに“日本語文学と日本文学”とあるように、いわゆる日本人でない人が日本語で小説を書く、それをどう呼んだらいいか、それがまず問題となる。

 私は「日本文学」ではなくて「日本語文学」だと考えていますよ。……「日本文学とは何か」というのは、結局、日本語の問題なんです。一般的には日本語で成立しているものだから、私は「日本語文学」と呼ぶわけです。……ディアスポラの文学。植民地支配によって祖国から外へ、宗主国の日本へ流離してきたディアスポラの在日朝鮮人の存在から出てきた文学で、言葉は日本語でも成立の根拠が違います。

 ……在日文学とは、日本近代の否定的な部分を考えさせるきっかけとなる。そういう意味では、「日本近代文学」の中にありながら、文化や精神を体現する代表的なジャンルとしての「日本」「近代」「文学」を照らし返すものとして、在日朝鮮人文学を考えることができます。

 金石範の『火山島』は、済州島で1948年に起こった大虐殺事件「四・三事件」を、初めて描いた作品で、最初は朝鮮語で書いていたが、その後日本語で完成した。人間存在は無意識的なものと意識的なものとの混合体。それを書くことが、人間全体を捉えることとなる。『火山島』はそういう意味でも「全体小説」と言えよう。


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