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六月一日(日)
『クワイエットルームにようこそ』をDVDで見る。俵万智の出演場面あり。
六月四日(水)
参宮橋駅から歩いてオリンピック記念青少年総合センターにたどり着き、新国立劇場演劇研修所二期生試演会「岸田國士の世界」(演出=宮田慶子)を見る(「秘密の代償」「音の世界」「葉桜」「長閑なる反目」)。美人女優発見。吉田妙子。
六月五日(木)
新国立劇場中劇場で『オットーと呼ばれる日本人』(作=木下順二、演出=鵜山仁)を見る。つまらなくてショック。字幕は一字も見えなかった。どうせ私は目が悪い。英語、ドイツ語のせりふはほとんど聴き取れなかった。しかしそれにしても……。
六月七日(土) 双眼鏡を持って再び『オットーと呼ばれる日本人』を見に行く。双眼鏡は字幕を見るには不適当であった。役者がみな小さなマイクを装着しているのが見えた。夜はブレヒトの芝居小屋(武蔵関)で東京演劇アンサンブルの『明日を紡ぐ娘たち』(作=広渡常敏、演出=公家義徳)を見る。昔風の喋り方が冷凍保存されている。
六月八日(日)
新橋演舞場で新派を見る。昼は『婦系図』(演出=大場正昭、補綴=齋藤雅文)。夜は『鹿鳴館』(演出=戌井市郎)。昼は芸者の瀬戸摩純、夜は令嬢顕子の役。胸をしめつけられるような美しさ(『ラスト、コーション』にも出演していた)。
二階の売店で花柳章太郎の『狐のかんざし』(三月書房)を見つける。新刊だった。著者は四十三年前に亡くなっているが、初めて本になる随筆だという。《まず役を受けると、その性格の分析をして、性根の表現に渾身の検索をかたむける》という文があった。こういう《検索》の使い方があるらしい。
六月九日(月)
志賀直哉あての知友の書簡集(日本近代文学館編として岩波書店から出る予定)のゲラと格闘する日々(私の受持ちは里見〓の手紙のみ)。発信人や年代の特定が難しく(無署名の手紙が多く、消印は見えないことがある)、解説の原稿を書いたあとになって「これはやはり里見〓の手紙ではなさそうだ……」という結論に達し、改稿を迫られたりする。
水上勉・千葉俊二『谷崎先生の書簡――ある出版社社長への手紙を読む 増補改訂版』には緊張した。水上勉の旧著で紹介されていた手紙(谷崎潤一郎から嶋中雄作への手紙)における、翻刻の誤り、年代推定の誤りなどを正し、未紹介だった三十数通を新たに全文掲げて解説した――という本なのである。
ナマ資料の解読は怖い仕事。 |