すばる最新号 > バックナンバー一覧 > 2019年10月号
古川真人『背高泡立草』。使う者もない古びた納屋周りの草刈りに駆り出された奈美。母に不平を言い募るが、同時に〈古か家〉と〈新しか家〉の来歴に関心を寄せる。誰かの内にある時間を足掛かりに、船着き場から海の向こうへ、今ここから、いつかどこかへと接続する物語。一挙掲載。
【特集「お金」を問う】新たな通貨や決済手段が次々と生み出されている今こそ考えたい、「貨幣」を「モノ」や「コト」と交換するという身近なのに謎めいた行為。インタビュー、論考、鼎談、個々の出費日録、各国からのレポートを通してその本質に迫る。インタビュー/岩井克人「「お金」とは何か──仮想通貨に見る資本主義の本質と倫理」。鼎談/上田岳弘+小佐野彈+加藤秀行「創作とビジネスの関係」。論考/大澤真幸「貨幣 その歴史の弁証法」、山本貴光「お金のつくり方」、若林恵「信用創造をググってみた」。「出費日録」「コーヒーとハルキ・ムラカミ」。
亀山郁夫『ドストエフスキーの黒い言葉』。生誕から間もなく二百年。現代を生きる人々の心に強く迫るその作品の〈言葉〉を第一人者が抽出し紹介する新連載。
高橋源一郎『この素晴らしき世界』連載第二回。「わたし」がベケットを初めて読んだのは一九六七年、高校二年生のときだった。おもしろい、と思った。第二幕はベケット「ゴドーを待ちながら」。
ひと/オダギリ ジョー。初めて長編映画の監督・脚本に挑んだ『ある船頭の話』(九月十三日公開)について語る。