新連載、島田雅彦「君が異端だった頃」。小学生の「君」は森を徘徊し、日記を書くことを覚え、中学校に上がる頃、将来文筆で身を立てるための「レッスン」を始めた。筆者初の自伝的小説、第一部100枚一挙掲載!
新連載、谷崎由依「遠(とお)の眠りの」。絵子は本が読みたくて、戦後の好景気の波にのって旅籠屋のほか手広く商売をしている、尋常小学校の同級生・まい子の家に通う。筆者初の連載、スタート!
春見朔子「転写か翻訳」。大学の教授秘書という新しい職を得た悠子。そこは今はいなくなってしまった、高校の同級生・関谷が所属していた研究室で……。
特集「歩く」。七人の書き手が、それぞれに異なる土地と時間を歩く。青木淳悟は池袋、岩城けいはオーストラリアのシップレック・コースト、しまおまほは世田谷・弦巻、瀬川深はコネチカット、藤野可織はアイオワ、山内マリコは渋谷、山下澄人は奥多摩を。
水村美苗「「世界文学」と「日本近代文学」」。フランス文学は極東の日本で翻訳され浸透したことで真の「世界文学」になったのではないか。翻訳と越境を体現する作家が、刺激的な論を展開する。
対談、佐川光晴+成田龍一「ファミリーヒストリーが浮かび上がらせる近代日本史」。一八九四年生まれの清作の半生と、そのひ孫のあさひの現在。表の歴史には決して現れない人々の姿を描いた、佐川の新作『日の出』を歴史学者・成田龍一が読み解く。
文芸漫談、奥泉光+いとうせいこう「島尾敏雄『死の棘』を読む」。今回はちょっと切ないトーンに。
海外作家シリーズはカナダ人作家、マドレン・ティエンを、佐藤アヤ子の訳と解説で紹介。